小児病棟に通う “ゴブリンさん” とつくる時間

小児病棟に入院している子ども達とご家族に向けて、僕、“ゴブリンさん” が、だいたい毎週、一時間半ほど、さまざまなテーマのゴブリン作品を一緒につくりに行くという活動です。2014年3月に開始し、175回の実施を経て、2020年3月末からは新型コロナウイルスの影響により休止中です(2020年12月現在)。

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テーマは、日用品シリーズの《紙コップゴブリン》、素材シリーズの《ガムテープゴブリン》、紙をやぶる行為に着目した《びりびりゴブリン》など多数。毎回一つのテーマを決め、準備した材料と道具を大きなカバンに詰めて病院に入ります。

開始前には、医療保育士さんやボランティアスタッフさん達が病室の子ども達に声をかけてくれて、主にプレイルーム、ときどき病室で実施します。幼児や小学校低学年の子ども達が多いなか、中学生のお兄さんお姉さんが参加してくれることもあります。ご家族や、医療保育士さん達自身も制作に参加してくれたことで、子ども達も過ごしやすい雰囲気がつくられていたのではないかと思います。

ときにはカラーペンを並べる遊びや、下敷き新聞紙に描く制作などに派生していくことも。そういう展開ももちろん歓迎です。

作品が完成したら、できるだけ作者に気づきを伝えるようにしています。そして作品写真を撮らせてもらいます。作品は、プレイルームや作者のベッドサイドに飾られます。

実施中にも医療スタッフの往来があります。連携を取りながら、治療で一旦場を離れる子には「待っているから大丈夫だよ」としっかり声をかけるようにしました。医師や看護師さんにはタイミングを見計らって子ども達の頑張りを伝えることも。6年続けた活動の終盤には、新たな関わり、リハビリスタッフとの実施中の交流も現れ始めていました。

■ゴブリン制作活動とは…

アーティストの小中大地が提唱する、森羅万象に宿る妖精《ゴブリン》を制作するアート活動です。2005年、小学校での展示をきっかけに開始。その展示中に児童から“ゴブリン博士”と呼ばれたことより、その後の活動でも名のることに(ただし紹介した小児病棟では“ゴブリンさん”)。病院のほか、閉校を迎える学校や世界遺産地域などさまざまな場の人々とともに実施しています。

活動アーティスト

小中 大地(こなか・だいち)

2013年に筑波大学芸術系の非常勤研究員として勤務することになり、それをきっかけとして、病院ボランティアの登録もしたうえで2014年3月から小児病棟活動を開始。2016年の春には立場が非常勤研究員から博士後期課程大学院生に変わったが、活動は継続した。それら期間において並行して、アーティスト。

ヘルスケアアートの種類

  • アートワークショップ
  • コミュニケーション型アート
  • アートプロジェクト

施設名

筑波大学附属病院 小児総合医療センター

施設内の設置・実施場所

小児病棟 入院病棟(プレイルーム、病室 ほか)

設置・実施年

2014年〜2020年

関係団体・個人とその役割

アーティスト: 小中大地
参加者: 小児入院患者、患者家族
活動時サポート: 医療保育士、ボランティアスタッフ
協力: 患者サービス課職員、アートコーディネーター、病院のアートを育てる会議出席者(病院職員、筑波大学芸術系教員・学生)、平成25年〜27年度文化庁助成[大学を活用した文化芸術推進事業]筑波大学プログラムメンバー

関連ページ
NPO法人チア・アート
第2回チア!ゼミ レポート
「#2 こどもと家族の病院環境を考えよう ゲスト:小中 大地さん」
https://note.com/cheerart/n/nba21db498392

小中大地個人blog『小中部屋』
https://konakabeya.exblog.jp/

事例投稿 小中大地