壁の一部をへこませて作った棚「ニッチ」

四国こどもとおとなの医療センターは、2つの病院が統合されて大きな総合病院になりました。2013年の開院に際してホスピタルアートを全面的に導入しました。

アートを導入する時には、コンセプトを決めて、サイズや色、材質、サインとの連携、法規制との整合性などを決めていきます。病院は美術館ではありませんから、長い間ちゃんと作品が生き続けられるかが重要となり、そのためには設計士さんや施工業者さん、多くの人と「対話」が必要になります。

ぜひつくってほしいとお願いしたものが、壁の一部をへこませて作った棚「ニッチ」です。お花のニッチは週に1回生花が変わり、アートのニッチは月に1回作品が変わります。飾られる花が変わるだけでまったく違う見え方をします。アートのニッチでは、クラフト作品で季節感のあるものを飾っています。お客様のためにちょっと庭の花を飾るなど、日本人は昔から日常の中でアートを大事にしてきましたが、そういうものを取り入れたいと思っています。

扉があるニッチには小さなプレゼントが入っている時があって、誰でも見つけた人がもらっていい仕組みになっています。ここには、地域のボランティアの方や入院患者さんがつくったギフトやメッセージが入っています。

実は病院ボランティアの活動も広がっていて、歌やバイオリンの演奏や絵手紙教室などそれぞれ得意な「こと」を提供してくれます。どの病棟に何が必要とされているかを、あらかじめ私がリサーチをしておいて、そこにふさわしいボランティアを導入する、そういうお手伝いをやっています。

「扉のついたニッチ」 患者様やそのご家族、ボランティアさん、病棟コンシェルジュによって不定期でメッセージとギフトが届く。見つけた人は誰でも持ち帰ることが可能。病院の片隅でそっと交わされる心の交流の「場」として。(病院HPより引用)

ヘルスケアアートの種類

  • 壁面の飾り
  • プレゼント

施設名

四国こどもとおとなの医療センター

施設内の設置・実施場所

廊下など

設置・実施年

2013年開院

関係団体・個人とその役割

アートディレクター:森合音
3つのニッチの制作:モーネ工房、モーネ寺子屋

関連ページ

四国こどもとおとなの医療センターHP ホスピタルアートについて
https://shikoku-mc.hosp.go.jp/about/hospitalart_ground.html

第1回 ヘルスケア・アートマネジメント連続講座 2018.07.04 講義録
「病院アートディレクターの役割」
四国こどもとおとなの医療センター ホスピタルアートディレクター、
NPO法人アーツプロジェクト 理事長 森合音
https://healthcare-art.net/case/mori.html

事例紹介 森合音